夜の学校、玉手箱

澤田眞宏です。日記です。宜しくお願いします。

想像上の嗅覚

きみの言葉を見ているとね、きみが今まで見てきたこと聞いてきたこと感じてきたことの香りがするんだ。ぼくはきみのことを何も知らないけど、なんとなく曲を聴いて思い浮かぶ情景とか香りってあるでしょ?そんな具合に。ぼくはきみについて、きみが教えてくれたことしか知らないのに。けっきょく、どこで育ってどこの学校に行ってどこで遊んでどんな人たちに囲まれて過ごしたか聞いたって、想像はぼくのものなのに。想像は、ぼくの人生のものなのに、まるできみのもののように感じてしまうんだ。それでもぼくは切なくなって、勝手にきみのいままでに思いを馳せて、泣いちゃったりするんだ。きっときみの思い出を、ぼくのそれに重ねてるだけなのに。それが不幸だとも思わないけどね。うん、初夏の雨上がりの早朝、まだ日がぼくたちを刺さないくらい。